薪を知る

薪の勘違い
薪ストーブを使う際、針葉樹(ヒノキ、杉、松など)を燃やせない、薪にならないと勘違いしてしまう方が多いです。
薪ストーブは針葉樹を燃焼するテクノロジーです。
薪ストーブメーカーは様々な技術を駆使し、針葉樹でも広葉樹でも燃やせるように進化しています。
薪の特徴

「薪の比重=(イコール)火持ち」です!
薪の比重によって火持ちに差が出てきます。
薪の比重とは水を1とした場合、同じ体積の薪がどの位の重さかという数値です。
1以下であれば水より軽いので水に浮き、1以上であれば水より重いので水に沈みます。
比重が高い薪ほど密度が高く、火持ちが良く、長く燃えてくれます。
比重が低い薪ほど密度が低く、火持ちが悪い分、火付きが良いです。
薪の種類 | 比重 | 薪の種類 | 比重 |
---|---|---|---|
カシ | 0.95 | クヌギ | 0.85 |
ウメ | 0.81 | アカシヤ | 0.72 |
ナラ | 0.68 | ケヤキ | 0.68 |
シラカバ | 0.62 | サクラ | 0.6 |
カラマツ | 0.53 | マツ | 0.53 |
スギ | 0.38 |
※ 表皮は芯部を守っているため小口から乾燥
なぜ比重に差が出るのか?
薪にする樹木は針葉樹と広葉樹で密度の差があります。
密度が低い程、空気を含んでおり、比重に差が出てきます。

ヒノキとヤマサクラの顕微鏡による断面の写真です。
針葉樹であるヒノキはハニカム構造で丈夫な作りをしています。
しかし、密度が低く、薪としては広葉樹のヤマサクラと比べ、2倍の太さが必要になります。
なので、針葉樹(ヒノキ、杉、松など)を薪にする際は、広葉樹の薪(ヤマサクラ、ナラなど)の2倍の太さで薪を作ってください。
針葉樹の薪は一升瓶位の大きさを目安に作るのがおすすめです。
薪の乾燥
薪は、冬、北側の風が通り抜ける場所で、屋根付きの薪棚に6ヶ月から1年半ほど乾燥させて使います。
ヒノキ(針葉樹全般)は素早く乾燥します。(約1年間)
ヤマサクラ、ナラ(広葉樹全般)は細胞学的に乾燥に時間がかかります。(約2年間)
薪の準備
Step.1 焚きつけ用薪:約2cm角くらいの細い杉の薪

Step.2 中薪:約4cmの薪、やはり杉材がベター

Step.3 丸太のままの薪:約18cm
- 18cm以下は薪割りをしないで使います。
- 18cm以上は2つ割りか4つ割りにして乾燥させます。
外出用として帰宅時まで、就寝用として朝まで、火種が残ります。比重の大きい樹種は火持ちがよく、夜間の薪には最適です。
燃料メーカーはあなたです!!

お気に入りの薪ストーブで冬を過ごせることはとても幸せなこと…その薪ストーブを暖かく、そして効率(燃費)よく焚くには、『薪』が全てです。それは焚く薪の状態で薪ストーブの燃焼効率が全く違ってしまうからです。
同じ太さで、乾燥期間が半年~1年未満の薪と1年半~2年の薪とを焚き比べてみると、その違いは明らかです。含水率の高い薪を燃すと、炉内の熱エネルギーはまず炉内の薪の乾燥に使われ、薪が97℃になってやっと発火します。あなたのストーブは暖かくないストーブとなります。
1つのストーブで同時には試せませんが、毎日薪ストーブを永年使うユーザーはよく分かっています。もし実験をするなら、熾き火を均一に平らにし、樹種、太さ(体積)が同じで、乾燥期間の異なる薪を2本ずつ置いて燃え方を観察すると、差を感じることができるでしょう。
乾燥が不十分の薪を使用し、急高温にした場合、ストーブ炉内の耐火材に亀裂を生じることがあります。乾燥が不十分の薪は、ガラスを曇らせ美しい炎を隠してしまい、煙突には煤と木酢液を、外気には煙を、あなたのストーブを困らせ続けることとなり、メンテナンスも必要となるでしょう。
薪を買う場合
玉切りまでしてある材なら、あとはアックスで割るだけ。割られた薪を買うより安上がりで、なおかつ薪割りの楽しみが味わえます。また、手持ちの薪ストーブの炉内サイズに合わせて、長さを指定して購入することも可能。薪を購入するときに相談してみましょう。
薪を安く購入するには
- 玉切りから自分でやりたいのなら、長い木のまま買うこともできます。もちろん、割られた薪を購入するより安く手に入ります。その場合、「トラック一杯でいくら」という買い方となります。
- 森林組合に問い合わせてみる。間伐材や枝打ちしたものなら格安で購入できます。その場合、「2トンでいくら」という単位で丸太のまま分けてくれます。
- パルプ・チップ工場に問い合わせてみる。
- ウイスキー工場に問い合わせてみる。樽の古材が購入できる場合があります。
薪をタダで手に入れたい場合
- 材木屋と親しくなる。製材の際に出る端材がもらえる場合もあります。
- しいたけのほだ木をもらう。
- ログサイトでもらう。
- 果樹農家と親しくなる。せん定した枝をもらえる場合があります。
- 建築中の現場を訪ねる。
- 建築関係の業者と親しくなる。別荘地や山林開発で伐採した木を分けてもらえる場合があります。
薪の乾燥方法
薪に使う木の伐採は、比較的、樹木が水を吸い上げない9月から翌年2月までがおすすめ。伐採してから薪として使うまでには1年~1年半の乾燥が必要です。薪を上手に乾燥させるポイントは、北風に当てること。冬の北風は自然の乾燥機です。
薪の燃えた灰の始末
- 灰はアルカリ性なので、土壌改良剤として畑で利用できます。
- 台所などで、クレンザー代わりに使えます。
- 料理ではアク抜きに使えます。
- 一般ごみとして出せます。